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青春に色は無い。例えるならばそれは本人の心の色だ。
今のゆとりに色相を重ねるなら、これはきっと「赤」だろう。空が燃え盛る夕方に僕の心も燃え盛って…合交えるその色はこれを置いてないだろう。まさに青春。誰もが待ち望んでいる高校生活を堪能しているのだ。
夕日に照らされた彼女の横顔は僕の目を強く焼き付ける。同じ仕事をして、同じ教室で二人きり。陳腐ながらも、青春ライフを誰もが心待ちにする素晴らしいシチュエーションでは無いか。
「あ、でも帰りたくなったら帰っていいからね。春馬君優しいからつい頼っちゃうけど、予定崩してまで仕事手伝って欲しいなんて、それこそ厚かましいお願いだからね」
この人は…水を差す様な事を言うなあ…
「もう。だから大丈夫だって。ほら、そっちの日誌片付けないくていいの?こっちの資料のまとめは僕がやっておくから。豊穣さんは自分のクラスの事先にやっちゃいな」
「ああ忘れてたよ…じゃあ、お言葉に甘えて。春馬君休める時に休んでね」
「了解」
豊穣さんはそうにこりと笑みを浮かべると、教卓から離れた。前の席から二番目。一番窓際に腰を下ろす。そこが今の彼女の席。星陵学園一年。名簿番号二番。僕がこの学校で初めて友達になり、こうして共に学業に励む仲間になった。僕の親友。伊澤豊穣さんの…居場所だ。った。
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