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聡四郎が声の先に視線を送ると、そこには目の前の少女の友達であろう女の子が立っていた。
「や…今話し始めたところで、まだ…」
目の前の明日菜と呼ばれた女の子は、先ほどからの少々しどろもどろな感じで答えた。
聡四郎は、状況を整理する。
-朝、下駄箱に、放課後屋上へ来るように書かれた手紙らしきものが入っていた。そして今、目の前に自分を呼び出した張本人と思しき少女と、その友人と見られる2人が目の前にいて、現状を共有しようとしている
ここで聡四郎は、一つの論理性を伴った結論を導き出した。
-これは、自分への告白をしようとした少女の事の結末を案じて、その友人が様子を伺いに来たという状況だな
そうして、頭の中の現状把握という方程式を解き終えたときだった。
「ごめん、せっかく勇気を出してもらってすごく嬉しいんだけど、俺今恋愛とか興味ないんだよね~」
いつもの悪いくせが出てしまった。
聡四郎には、無意識に女の子にかっこつける癖があった。
-あ、あれ… 俺何言っちゃってんの? いやいや、そこは君の気持ち、全力で受け止めるよとかいうとこだろっ!
聡四郎の頭の中は、もはや喜劇を一人芝居するが如くだった。
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