選ばれざりし者

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「宮内……? 誰だ、そいつ?」 「え……じゃあ、あんた誰なの?」 「なんなんだよ、二人揃って! 俺のこと呼び出したのはそっちだろ?」 「ご、ごめんなさい…… 私、てっきり宮内くんの下駄箱だと思って……」 そう言って謝る明日菜の声は、震えていた。 「あー、もういいよ! その代わり、古江聡四郎な」 「え……?」 明日菜は、不思議そうな顔をして聡四郎の顔を見た。 「俺の名前だよ」 「古江くん……本当にごめんなさい」 「もういいって! そんなに謝られたら、逆に気まずいだろ…… そんなに怒ってねーから」 「あら、その割には、悔しそうな顔してたわよ」 「うるせー! 俺だってこんな屈辱初めてだよ!」 「ご……ごめ……」 明日菜はまた泣きそうな声になっていた。 「わかった! わかったから! それより、おまえ、宮内ってやつ探してんだろ?」 「……う、うん」 「ほら、行くぞ留美!」 「うん!……ってなんで!? あんたとどこに行くっていうのよ!」 「 その宮内ってのを探しに行くに決まってんだろ!」
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