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寒河江さんはそっかと答えて、手を振ってわたしたちを見送った。
「なんで寒河江さんに違うって言わなかったの?誤解されちゃうじゃない」
「わざと誤解されるように言ったんだよ」
「なんでよ?」
「それは、内緒」
寒河江さんがわたしと疾風って誤解してたらどうすんのよ。
あ、わたしのこと好きでもなんでもないだろうから気にしたりはしないか…
自分で墓穴掘って撃沈してく。
「久々に逢って可愛くなっててびっくりしたってこともあるしな」
うんうん。
疾風が独り言言ってることがさっぱりわからない。
「いいんじゃねぇの?おまえらしくて鈍感で」
「なによ、バカにするくらいなら教えてよね」
「恵をからかうの面白いから教えねぇよ」
疾風とふたり寒河江さんの店を出て駅まで歩いた。
「さて、これからどうでるかな?」
疾風はひとりなにかを楽しみにしてるみたいでわたしの前でずっと笑ってた。
こいつ、やっぱりバカ?
そう思った。
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