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空気がピンと張り詰め、龍一郎さんが寒河江さんを見た。
寒河江さんは、
「好きで仕方なかった女性はいたよ。でも、今はちゃんと自分の中で友達として見ることができてる。それに気になってる女性は他にいる」
ハチミツ入りの紅茶を出してくれた。
「…気になってる女性?」
「彼女に、好かれてたと思ってたんだけど、…彼女にはいい人がいたみたいでさ」
わたしが聞いたことで傷つけた。
こんな話を聞きたかったわけじゃないのに。
後悔してく。
「寒河江、おまえ」
龍一郎さんが寒河江さんを見るとふたり訳ありげに頷いてた。
りかは寒河江さんに、
「気になってる女性って誰?」
って直球だった。
「教えない」
寒河江さんが気になってる女性…
2年前に寒河江さんに失恋した時よりも、ずっとずっと胸が痛くなった。
わたしじゃない誰かを好き…
後はもう頭が混乱して何も考えられなかった―――
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