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えっ?
「そのペンダントは兄がデザインしたのよ。わたしじゃないの」
「これ、寒河江さんが…?」
「兄がデザインしたたったひとつのペンダントなのよ」
マミさんの話に、胸が急に騒ぎ出した。
寒河江さんがデザインしたただひとつのペンダント。
それだけで自分が特別な女性になったような気がしてくる。
このジュエリーショップから、寒河江さんの店まではそんなに距離はない。
「わたし…寒河江さんに会いに行ってくる」
「え?恵?これから?」
会いたい。
顔を見るだけでいい。
ちゃんとお礼を言いたい。あの時、寒河江さんのそばにわたしが居たかったって伝えたい。
りかが引き留める声がしたけど、店を飛び出した。
外に出ると雨が降ってきて、その中を走り出す。
寒河江さんの店の前に着いて、見てしまった。
店の前で寒河江さんに背伸びしてキスしてる女性がいた。
―――うそ!寒河江さん!?
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