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きっと龍一郎さんもわかってる。
わたしが寒河江さんを好きだったこと。
りかが何も言わなくても勘の鋭い人だから、きっと。
「林さんに紹介したい男がいるんだ。身内の者で彼の人柄は俺が保証する」
龍一郎さんとりかを見たままそれ以上振り向けない。
カツカツと靴音がして、すぐそばで立ち止まる。
耐えきれなくて目をギュッと瞑った。
龍一郎さんの紹介した人と付き合う。
寒河江さんを忘れる。
そう覚悟を決めて顔を上げた。
「俺の身内であり、親友でもある」
えっ………?
「月野寒河江です」
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