一.そしていつもの風景に

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一.そしていつもの風景に

春の昼下がり。 私と篤人はいつもの様に行きつけの喫茶店でテーブルを前に向かい合ってソファに座り、コーヒーを飲んでいた。 篤人は喫茶店に備え付けの電源を確保して、MacBook Airをいじっていた。 「なぁ、いっつもパソコンいじって、何やってるんだ?」 「ネットサーフィン」 いつも通りの回答。篤人は自分から何かを発信することは無いので、FacebookやTwitterなどには興味が無いようだ。 私はそんな篤人を眺めつつ、隣で小説を読んでいる。 篤人は札幌のH大学工学部の四回生。私は同じ大学の経済学部の四回生だ。 お互い卒論を抱える身なのだが、まだ研究室に配属されたばかりでテーマも決まっていない。
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