一.そしていつもの風景に

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だいたい平日の授業の無い日はここで他愛も無い会話(最も私が話しかけて、ぶっきらぼうな回答を受けるだけなのだが)をすることが、いつもの風景となっている。 「あ、やっぱりここにいるんだ?」 にぎやかに声を上げつつ、佳子が寄ってきた。 佳子は同大学三回生、経済学部で私の高校時代の後輩だ。 私が先に知り合ったのだが、ここで篤人に会って以来どうも篤人が気になるようだ。 まだ三回生だから授業も多いはずなのだが、暇があるとこの喫茶店に顔を出す。 佳子は篤人のバッグを勝手にテーブルの下によけ、篤人の隣に腰を下ろす。
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