私たちとアイルのやばい夜

3/24
前へ
/24ページ
次へ
ライブでの美和のドラムは相変わらずの安定感で高校の時に比べて音に感情が出るようになったような気がした。 だけどボーカルの男の声が妙に甲高くて私はどうも苦手だった。 それはどうやら栄子も同じだったようで、演奏の途中で彼女はそそくさとライブハウスから出て行ってしまったのだ。 私は慌てて栄子の後を追いながら「ごめん栄子が急に気分悪くなっちゃったから今日は帰るね。またこんどゆっくり飲もう?その時はお詫びに奢るから」と美和にメールを送った。このライブが終わった後美和を含めたバンドメンバーと打ち上げに参加させてもらう予定でいたのだ。 ライブハウスがあるビルの地下から地上に上がる狭い階段を、栄子の背中を息を切らしながら追う。 ふと、両目の向こうで後ろで縛った栄子のポニーテールが揺れるのが気になる。 確か彼女は高校の頃は髪を短くしていてどこかボーイッシュな感じの髪型をしていたような覚えがあるのだが・・・。 音大に入ってから美容院に行っている暇が無いのだろうか。それともひょっとして恋人でもできたのだろうか。 だとしたらちょっと嬉しいんだけど・・・。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加