私たちとアイルのやばい夜

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「そうなんだ…」 そう答えるのがやっとだった。 「びっくりした?」 並んで歩き出した栄子は照れたような笑いを浮かべている。 「そりゃあ、まあねえ…」 高校の軽音学部のメンバーで唯一恋人が居なかったのは栄子だけだった。 思いを寄せていた男の子は居たらしいのだが、その彼は自分たちよりもだいぶ年上の女とつきあっていると言う噂が流れたため栄子の片思いはあっけなく終わってしまったようだ。 その一方で私はsnsで知り合った一つ年下の男の子と、美和は幼なじみと、ギターボーカルの仁美はテニス部の先輩とそれぞれ恋愛を楽しんでいた。 そんな私たちを栄子は特に羨ましがったりやっかんだりする様子も無くマイペースにキーボードの練習に励んでいたように私には見えていたのだが…。
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