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栄子に取って待望の恋人である。「紹介するよ」と言われたら行きたくないわけがないだろう。
だけどこんな遅い時間に押し掛けるのは迷惑である。
彼女の家には何度か遊びに行ったことはある。木造アパートで母親と二人で暮らしているのだが…。
「お母さんのことなら気にしないで。今日あの人夜勤だから明日のお昼前までなら家には居ないから」
私の心を見透かしたように栄子は言った。
「そっ、そうか。じゃあお言葉に甘えて…」
それから私たちは駅のバスターミナルから10分ほどバスに乗り栄子の自宅アパートへ向かった。
「ねえ、何でライブハウスを途中で抜け出したの?」
バスに乗ってから少し走ると私は右側に座る栄子に聞いてみた。
すると彼女はこう答えたのだ。
「彼が、お腹空かせてるんじゃないかって思うと心配になっちゃって…」
このことがこれから起こるやばいことへの予兆であることを、この時の私はもちろん知るよしも無かった…。
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