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「仕事が終わるに、何時?」
「企業秘密です」
「迎えに来たいのだけど、何時?」
「今日は先約がありますので」
口説かれてる? いや、いやいやいや、こんな王室なんちゃらとか肩書きがあるような有名人が私を口説く理由が本気で分からない。
「じゃあ、帰りを待っていることにするか」
「?」
「その時に、――色々聞くことにするよ」
目元だけふんわり甘く笑った彼は、鏡越しにずっとそれから私を見ていた。
緊張して、手が震えても彼の鋭い眼差しは、時折思い出したかのように瞬きするのみだった。
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