プロローグ 理想の甘さ。

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「ほら、10時になったから看板を出してきてよ」 「あん、いなくなっちゃった。イケメン料理人も10時きっかりで撮影終わらせて中に入ったみたいです」 しょんぼりしたままの浜ちゃんは渋々と看板を出しに入口へ向かう。 「くるみ、甘いモノすきじゃん。今日の休憩のときに行く?」 高瀬に言われて、ちょっと考えてから首を振る。 「今、目の前のコンビニが、ハチミツスイーツ始めたからアレ一日一個食べて制覇したいのよね」 「お前なあ、王室料理人のスイーツより、コンビニスイーツか?」 「北海道産蜂蜜との謳い文句はやっぱ捨てがたいのよね」 「……お前、もう蜂蜜だけ舐めて生きていけばいいのに」 「森のくまさんか、私は」 私のツンツンに、高瀬が腹を抱えて爆笑していた時だった。 入り口で看板を出していた浜ちゃんが、けたたましい悲鳴を上げた。
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