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「柏木、人事から辞令来てるぞ」
いつものように出勤すると、先輩がA4の紙をひらひらさせた。
「え!? 何ですかね? もう移動の時期過ぎましたよね?」
「だよなー、お前、なんかヤバいことしたかぁ?」
「ちょっ、やめてくださいよー。俺は区民の味方、優しいおまわりさんです!」
はっ、笑えねぇって、先輩が呆れながらその紙を渡してきた。
見れば『柏木陽一殿』と物々しく書かれた名前の下には『ランニングポリスに任命する』と書いてある。
「うわ~! まじでー!?」
俺は思わず叫び声をあげた。
「うわ! なんだ!? どうした!?」
先輩も驚いて大声をあげた。
「先輩! ランニングポリスですよ! 俺の陸上人生が認められたんですよ!
やったー! 東京有明マラソンだ! 憧れの東京有明マラソン!!」
大興奮する俺を、先輩はほんわかした表情で見つめた。
「とりあえず出勤準備しろよー。んで、朝礼なあ」
あぁ! そうだった!
急いで出勤準備を済ませた後、ランニングポリスが所属する『警備部』に連絡を入れた。
そしてここから、俺の運命は大きく変わることになる。
もちろんそんなことを知る由もない俺は、ただただ嬉しくて、天にも昇る気持ちで警備部への所属変更の辞令を受け取った。
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