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坂本先輩が帰った後、俺たちは黙って向きあった。
もし坂本先輩の言うとおりになったら、俺も後藤もどんな扱いを受けるのか……、何となく想像できる。
そして実際は、想像をはるかに超えた過酷な生活が待っているんだろうな……。
俺は今ほど、自分の将来に絶望を感じた事が無かった。
「か……し、せいだ」
後藤がうつむきながら、何かを呟いた。
けれど俺は耳の奥でキーンという音が響いて、聞き取り辛くなっていた。
「あ? 後藤、悪い……なんだ? 俺、今あんまり聞こえ……」
「そもそもお前のせいだ! お前のせいだ、って言ったんだよ!」
「俺の?」
「お前、坂本さんがお前を潰そうとしてるってこと、気づいてないのか?
あの人な、お前に陸上人生狂わされた、って言ってたぞ!」
「ああ? な、な、どういう事だ!?」
後藤の自虐的で、苦しそうに歪んだ笑顔に狼狽えた。
加え、全く予想しない言葉が飛び出して、もっと狼狽えた。
「坂本さんな、来年のニューイヤー駅伝、落とされたらしいぞ。
陸上部の部長が坂本さんじゃなくて、お前を推薦したんだってよ。
だから、坂本さんはランニングポリスに立候補したら、お前がのこのこランニングポリスに現れた、ってさ。
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