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陸上部じゃ、お前の話でもちきりらしい。
お前は坂本さんの陸上人生を狂わせる邪魔者だ、ってよっ!」
「ま、待てよ! 俺、ニューイヤー駅伝の話なんて、聞いてないぞ!?
第一、俺をランニングポリスに推薦したのは、坂本先輩だろう?」
だってそう聞いている。
いや……、そう聞かされたのか。後藤が…、そうだ、こいつがそう言ったんだ。
「お前が……、『お前をランニングポリスに推薦したのって、お前の大学時代の先輩らしいぜ』って」
警察で大学陸上部の先輩は、坂本先輩しかいない。
俺が大喜びで坂本先輩の名前を口にしたとき、こいつは一緒になって笑ってくれた。
「良かったな」って言ってくれた。
『せいぜい先輩のために頑張れよ』って。
いつの間にか俺は、後藤の襟元を掴んでいた。
「離せよ……」
後藤は低く呟いて、俺の腕を掴んだ。
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