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12月31日 午後11時45分
独身寮の玄関でランニングシューズのひもを固く結ぶ。
「よし!」
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後藤の部屋から自室に戻り、俺はしばらく逡巡していた。
ランニングポリスに任命され警備課に所属されてから3か月。すっかり課の一員のつもりでいたし、警察官として成長した気にもなっていた。
けどそれは全部周りのお膳立てとか、後藤曰くの”強運゛だったりとか……。
なんかそういうモノに助けられてたんだよな。
実際の俺はあくまでも仮配属で、東京有明マラソンが終われば、また普通の交番勤務に戻る。
だけじゃなくて……、坂本さんの下で駒になるんだっけか。
けどさ、そんなこと考えてたって、何かが変わるわけじゃないよな。
何かを変えたければ、自分が動くしかないんだ。
これは警備課で教わったことだ。
『動け。やるべきことを見極めろ』
谷木さんがいつも朝礼で言う教訓。
今、俺がやるべきことってなんだ?
結局俺にできることって、走ることなんだよな。そう思ったんだ。
だって、俺はランニングポリスなんだから。
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