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明治神宮の裏の駐車場に入ると、そこには大型のテントが設営されており、ものすごい人数の警官と機動隊が待機していた。
みんな各々寛いでいる様子だ。
「お~い! こっち、こっち!」
谷木さんが手を挙げている姿が見えた。
俺は場の雰囲気に圧倒されながら、おずおずとテントに入った。
「お前が署に顔出したって聞いたから、暇なんだろうな~って思ってさ。
まっ、こっち来て甘酒でも飲めよ。豚汁もあるぞ」
「弁当も余ってるぞ~。食え食え!」
泉がガッツリ弁当に食いつきながら、山積みにされた箱を指さした。
仕事を休んでたのなんてほんの何日かで、この人たちと会わなかった時間なんて、たかが知れていたのに、こんなにもホッとするなんて。
俺、どんだけヘタレなんだろうな……。
「いただきます。うえっ、あちっ!」
貰った豚汁にふうーふうーしながら、堪えきれずに沁みだしてきた涙をこっそり拭った。
東京有明マラソンまであと2か月余り。
新しい年の幕開けだった。
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