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結局、明治神宮で初日の出まで拝んでしまった。
泉は、シフトが終わると同時に飛ぶように去って行った。
どうせ宝田さんのところにでも行ったんだろう。
参拝に来ていたイチャイチャカップルを見かける度に『リア充よ! 滅びろ!』って呟いてた隊員がいたな……。
俺も今、そんな気持ちだ。
新年早々、やさぐれた気持ちを持て余している俺に「柏木ィー」って呼びかける声があった。
目の下にクマをこさえた谷木さんが、ニコニコしながら手を振っている。
「谷木さん、クマすごいですねぇ。――大丈夫ですか?」
思わずしげしげと眺める俺に
「そう思うならさ~、俺を助けろ!」
言ったと同時に「は~い! 人数確保!!」って向こうの男集団の円陣に放り投げられた。
「うえっ!? なんですか? うわっ!」
訳が分からないうちに俺は、独身貴族という名のおっさんたちに囲まれて、止めてあったバンに乗せられた。
外を見ると、谷木さんがきれいな笑顔で、手を振っていた。
なに? なに? 俺、どこ連れて行かれちゃうの?
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