新年!

7/8
前へ
/170ページ
次へ
「柏木君だったな。いや~、どうしてもあと一人必要でな。  ……谷木はどうにもノリが悪くてなあ~。まっ、君なら大丈夫だろう」  震えあがる俺に、うんうん……、って楽しそうに頷く、熊のような風貌。  だれ? だれなの? 「隊長! まもなく目的地に、到着であります!」  強面の隊員が形式ばった言い方で、助手席からこちらに振り向いた。  隊長と呼ばれた男(熊は隊長だったっ!)は「うむ」と一つ頷いて 「諸君……」と静かに言葉を発した。 「今日は無礼講だ! 好きなだけ、くんずほぐれつして来い!!」 「はいっ!!!」  車の中の男たちが一斉に元気よく返事をした。  全く話が見えない俺は、すっかりおいていかれた。 「毎年恒例でな。10人で行くと特典が付くんだ。  すごいぞ~、柏木、楽しみにしてろ!!」  俺の後ろに座ってるゴジラ似のごっつい隊員が、俺の肩を激しく叩きながら、嬉しそうにそんなことを言った。  そして到着した店『愛の巣』で、俺は店で2番目に人気があるという【桃花】という泡姫と隊長の言葉通り、存分にくんずほぐれつさせてもらった。  悪いな後藤……。俺はやっぱり強運の持ち主だったみたいだ。  天国を味わいながら、俺は口先だけの謝罪をした。
/170ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加