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「柏木君だったな。いや~、どうしてもあと一人必要でな。
……谷木はどうにもノリが悪くてなあ~。まっ、君なら大丈夫だろう」
震えあがる俺に、うんうん……、って楽しそうに頷く、熊のような風貌。
だれ? だれなの?
「隊長! まもなく目的地に、到着であります!」
強面の隊員が形式ばった言い方で、助手席からこちらに振り向いた。
隊長と呼ばれた男(熊は隊長だったっ!)は「うむ」と一つ頷いて
「諸君……」と静かに言葉を発した。
「今日は無礼講だ! 好きなだけ、くんずほぐれつして来い!!」
「はいっ!!!」
車の中の男たちが一斉に元気よく返事をした。
全く話が見えない俺は、すっかりおいていかれた。
「毎年恒例でな。10人で行くと特典が付くんだ。
すごいぞ~、柏木、楽しみにしてろ!!」
俺の後ろに座ってるゴジラ似のごっつい隊員が、俺の肩を激しく叩きながら、嬉しそうにそんなことを言った。
そして到着した店『愛の巣』で、俺は店で2番目に人気があるという【桃花】という泡姫と隊長の言葉通り、存分にくんずほぐれつさせてもらった。
悪いな後藤……。俺はやっぱり強運の持ち主だったみたいだ。
天国を味わいながら、俺は口先だけの謝罪をした。
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