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今日も先輩は格好良い。
菜月先輩や津田先輩に笑いかけているその顔も櫻井先輩と冗談を言い合って身体をくねらせているその仕草も会長に突っかかっている態度もオムライスを頬張る口の動きも彼のとにかく全てが素敵で、カメラのシャッターを切る指が止まらない。
そうして先輩の姿を一つ目のメモリーカードの容量一杯までカメラに収め、二つ目のメモリーカードに替えている最中に先輩がこちらへ向かって真っ直ぐに歩み寄ってきた。
えっ、先輩ちょっと待って、まだ僕の心とメモリーカードの準備が出来てません!
「圭都くん、そんな所で何してるの?」
僕があたふたしている間に、先輩は僕が潜む生け垣の前まで来ると僕に笑顔でそう尋ねてきた。
よし、メモリーカードの充填完了。これでまた先輩の姿をカメラに収めることが出来る。
心もメモリーカードも準備万端になったところで、僕は先輩に答えた。
「先輩の写真を撮ってます!」
「えー、やだなぁ、俺の写真なんて撮っても何にもならないでしょ」
「なります!」
全力で断言する。
「先輩の写真を見てるだけで幸せになれるし何なら先輩の写真があればご飯も要らないっていうか、あっ、いえ、もちろん本物の先輩が永遠に僕の傍にいて僕だけを見ていてくれれば一番ですけど!」
先輩に首輪を付けて僕と二人だけの世界に閉じ込めることが出来たらどんなに良いことか。想像しただけで背筋がゾクゾクとする。
彼の顔がグチャグチャになるくらいメチャクチャに犯してしまいたい。あぁでもあんまり辛いことをさせたら可哀想かな、蕩けるくらいに甘く優しいセックスをして幸福感に浸らせて僕に依存させて心身共に僕の虜になってもらうのが良い、うん、そうだ、そうするのが一番良い。それなら僕も先輩も幸せだ。
いっぱいいっぱい可愛がってあげますからね、先輩。
そしてそんな僕の考えは、先輩が次に放った何気ない言葉によってより一層高ぶったのだった。
「そう言われても俺、あんまり写真って好きじゃないんだよね。ほら、写真撮ったら魂抜かれるって言うし」
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