青年は独りでも面倒事に巻き込まれる法則

22/29
134人が本棚に入れています
本棚に追加
/120ページ
「わたくしの妹は毎日毎日機嫌の悪い日が続く神経質な性格なのですわ。周りからわたくしと比べられる事に苦しんで、わたくしも声を掛けられなくて。かと言って口を挟めば絶対に喧嘩になってしまいますのよ」 どこにでもありがちな姉妹仲にも思われる。 兄弟、姉妹だからと仲が良いだけの関係じゃないのはわかっている。 実際、親友の光の姉妹だって仲が良いわけではない。 「わたくしとの血の繋がりも半分だけなのよ。妹がお父様との正妻の子。わたくしは愛人との間に出来てしまった存在してはいけなかった姉だからね、鬱陶しいわよねそりゃあ……」 自分の存在のあり方に悩んでいるみたいだ。 そんなの、――俺だってこの世界に存在しちゃいけないイレギュラーなものでさ。 他人事には出来ない悩みだった。 「わたくしが居なかったらもっと自由に妹は生きていけた筈なのに……、わたくしが邪魔してしまった。しかもお父様は完全実力主義で妹よりわたくしを可愛がって、それで妹は行き場を失って引きこもり……。売り言葉に買い言葉で罵りあって妹に嫌われてしまいましたわ」 しかもさ、同居人の絵鈴みたいな悩みをしてくる彼女に冷たく突き放してやろうという気が削がれてしまう。 「別に今更妹との修復なんてどうでもいいですけど!」 「本当にどうでもいいのか?」 「だってこないだあいつは親戚に拾われてどっかに行ったんだもの!逃げたのよ、今更追いかけられないわよ」 ……本当に絵鈴みたいな妹だなとつくづく思う。 絵鈴の姉って名前なんだっけ? UQとか変な名前だった気がする。 「まぁそれがトリガーで、わたくしも外に出てってやる!って決意しましたわ!日常に変化が必要とこないだ本で読みましたわ。そういう意味で家出して自立してやったってわけよ」 「…………」 お嬢様だな……。 スマホを持って家出? 特に荷物や準備もなく家出? あれか? プチ家出みたいなやつか。 家出するなら誰とも連絡を断って家に戻らない決心して、自分を壊してはじめて家出になるってもんだろ。 youのはただの旅でしかないよ。 「あんな広いだけの家にはうんざり。つまんない、刺激が欲しいのよ」 ヒステリックの1歩手前くらいまでに口調が少し荒くなっている。 ネタに走るか真面目に答えるか、回答に迷いがある。
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!