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立ち話もなんなので公園のベンチに並んで腰掛ける。
近くにママチャリを置いて視界に収まる場所に停めておく。
「……」
youはベンチで走り回る子供やただ歩いている人々を複雑な目で眺めている。
彼女の瞳はまるで映画の一場面を視聴しているものであった。
「わたくしは名前に縛られてますのよ」
「わお、ドM」
「……馬鹿にしてますの!」
「馬鹿にしなきゃ女の愚痴なんか聞けるかよ」
「貴方もわたくし以上に性格が悪いみたいですのね」
性格の悪さに自覚があるらしい。
自覚しているだけ可愛いもんだ。
「城の近くから抜け出せないのですのよ……。ずっとずっと……。長い時間……。何時間、何日、何週間、何ヵ月、何年も。…………それこそ悠久の刻すら変わらないんじゃないのかって」
「変わらないものなんてないさ」
「気休めですわよ」
「変わるさ……。永遠なんて無い。自分を変えてみせれば周りからあっという間に変わるよ」
俺の閉じた世界。
何も未来なんか考えなかった。
しかし、それを星丸と光に連れ出されて少しだけ変われた。
「後悔とかを解消してみれば良いんじゃないか?」
「後悔……ですか?」
「ああ。例えば俺の場合は妹を連れ出す力が無かった……。そのせいで兄貴もおかしくなって引きこもったりしてさ。もっと俺がしっかりしていればって後悔ばかりさ」
葉子……。
弱い兄達で悪かったよ……。
「ユキさんは3人兄妹ですの?」
「いや、実際は2人」
「おちょくってるんですの!?」
「まぁ、戸籍は3人か……」
全く俺の今語った話題に掠りもしない2人だけど。
「貴方も複雑ですのね。だから執事なんて仕事をしているのですわね」
「せやね」
それも話題には関係ないが訂正するのが面倒である。
「妹ですか……。わたくしも妹については後悔してますわね」
「ほう。詳しく聞こうか」
「なんでいきなりそんなに食いついたのかしら?」
「そうか?態度変わってないだろ」
なんだよ、妹の単語が出たからといって態度を変えるなんて変な指摘は冤罪もいいところだ。
「どこでわたくしは妹と仲が悪くなってしまったのかしらね……」
「……」
後悔のため息を溢す。
その様子が酷くて顔を見ていられなくなる。
「まぁ、……俺が暇だった時くらいなら力になるぞ。愚痴聞いたりとかそんな程度しかなれないけど」
自分から面倒事に巻き込むらしかぬ一言を呟いてしまった。
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