メイドとお嬢様はヒロインになれない法則

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「ただいま」 「おう、帰ったか達裄」 居間からは普段別居中の義理の姉の声が届く。 俺の両親は既に他界しており、父親の兄弟である遠野家に引き取られたのであった。 引き取られる前から苗字は遠野で変わり映えしなかったのだが……。 「卒業おめでたいな」 「本当にそう思ってる?」 「単に義務教育終わっただけだろ!年取ったら誰だって卒業出来るわ」 「……」 遠野巫女(トオノミコ)。 神社で下着を着用しないエロい巫女さんとは全く関係のない、見た目ただの派手なギャルである。 名前のときめきを返して欲しいもんだ。 だが、こんなんであれ俺にとっては育ての親同然であり、基本俺は彼女から生き方を学んだ。 赤信号も車が通らなければすぐ通れ、待ってる時間は他の有意義な事に使え! 知識を身につけろ、他人は裏切っても知識は裏切らない。 性欲に従え、恥ずかしがる内気は女にアピールするチャンスを逃してるだけだ! そんな破天荒な学びを時には吸収し、逆に戒めとしてきたものだ。 竿よ穴よ、と育てられた。 そして、別居中でありながら家を訪ねた場合はたいていロクな事にならない。 「まずは卒業祝いに私の執筆したオリジナルの同人漫画を授けよう。萌えるってネットで評判なんだぜ」 「まあ、もらっておくけど……」 『絶対お兄ちゃん主義!』……、どんなタイトルだ……。 B級タイトルな響きだ、触れないでおこう。 「これのモデルはあんたと私の妹になってるから」 「どんな顔して俺読めばいいんだよ!」 表紙の女の子がすごくロリっぽくていかにも小学生なんだが、こいつの妹は俺の1つ下らしい。 会った事ないので顔を知らない、戸籍上では俺の妹になっているが……。 その為、本当にモデルが顔の知らない妹なのかは判断が付かない。 「えへへ~、妹~。はっはっはっ」 「ド変態じゃねーか」 俺がこの同人誌を読んで興奮する図の実践とかそれこそ俺は直視出来ない。 「ってそんなんどうでもいいわ!この変態弟!人生で1回の中学の卒業を終えていきなりエロとか男子中学生か!」 「たったいま俺はそれを卒業してきたんだよ!」 むちゃくちゃだ……。 俺はどう反応するのが正しいのかもうよくわからない。 「そっか、達裄も卒業か……、感慨深いな」 「お前さっき年取れば誰でも卒業出来るいうてたやん……」 「童貞とは違ってな」 ドヤ顔である。 いきなり飛ばしてんなー……。
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