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「それで俺はどうすればいい?」
「うん。まずダンボールから手を離せー」
ダンボールを無理矢理姉さんに取り上げられる。
おそらく姉さんもホームレスになるに違いない。
「困った事に達裄にはもう住む家が明日から無いわけだ」
「そういうわけだから無人島で1から頑張っていこうという企画になったわけだ」
「なってねーよ。どんだけ独りでやっていきたいの!?」
だって、姉さんから提案されそうなものの方が危険だとアラームが鳴っているのだ。
ホームレス、無人島サバイバルのどっちかにしてればなー……って後悔するビジョンが既に視えている。
「うちの親戚の子の執事になって欲しいのよ、頼む」
「さーて早速公園で住処探しだ」
「お願いだから引き受けて……」
「こんなん奴に務まる仕事なわけないだろ!お前仕事舐めんな!」
「なんでお前に素質がないだけなのにお前が偉そうなのよ!」
最終学歴中学卒業、職業執事。
職務質問されたら即不審者だ……。
「だいたい執事ってあれしなきゃいけないんだろ。えと、…………執事しなきゃならないんだろ」
「大雑把」
思い浮かばないのだから仕方ない。
漫画とかだと化け物とか退治してるイメージ。
そんなん現実に現れたらお寺さんに頼むしか方法がないんじゃないだろうか?
「あー、そう。引き受けてくれない。その程度だったんだー、達裄にとっての私の優先度」
「常に最下位だよ」
「あっそう。親戚の近城ってとても大きな屋敷なのに公園でいいんだー。夏は涼しい、冬はあったかいお屋敷より夏は暑い、冬は寒い公園選ぶんだー」
「そりゃあお前季節だもん。そこに文句言わねーよ。文句があるとするなら節電しろ」
「無駄に出来た弟!?カツアゲしようとしたり紐探そうとしていた人物と同一人物とは思えない!」
残念ながら俺の腰は重いのだ。
絶対に首を振らない。
何故なら俺は遠野達裄であり、遠野巫女のおもちゃではないのであるから。
俺のプライドはそんなに安くはない。
「そっか残念……。メイドのいるお屋敷だったんだけど。さて、変わり探すからお前公園な」
「引き受けよう。姉である巫女の頼みを弟の達裄が断るわけがないだろう」
「プライドやっす!プライドよりメイド取ったよこの子」
遠野達裄、……メイドにちょっとだけ興味がある。
興味があるだけで好きとか大好きとかそんなわけではない。
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