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「あー、親戚だし私とも仲良いからオブラートに包みながら解説するわよ」
「じゃあ語り終わったら起こしてね」
背もたれを低くして目を瞑る。
「あっ、メイド!?」
「どこどこ!?」
背もたれを戻しキョロキョロ首を振ってメイドを探す。
クソっ!どこにもメイドが見えない。
「あの前の車メイドインジャパン!」
「……騙したな。弟である俺を騙したな巫女ぉぉ」
「お前にすげーむかついたからな、仕返すよ」
気を取り直して巫女が俺を執事にしようとする理由を語る。
「あんたが世話する事になる子がね、ちょっと性格に難があるのよ」
「我が儘でヒス持ちで自分が1番偉いと思っているってはっきり言えよ」
「もう彼女専任で付けた執事もメイドもクビにされてばっかり……」
「だから天才で趣味は雨乞いをすると80パーセントの確率で雨にすることであるパーフェクトな俺に白羽の矢が立ったわけだ」
「もう普通の人じゃ世話が出来ないという事になり普通じゃない人に執事をさせようと」
「ふーん。お前普通じゃないもんな。お前執事頑張れよ」
「お前がするんだよ!」
「え?俺が普通じゃない……」
なんという事だ……。
俺が普通じゃないならこの世界のどこにも普通の人なんて存在しなくなっちゃうじゃないか……。
「ベラベラと茶々入れやがって。普通の奴がこんなに茶々入れるか!なんだよ趣味雨乞いって」
「わかんねーかな。呪文唱えると雨降る感覚」
「知るかよ」
「水よ散れ――お前の攻撃は皆平等に降り注ぐ」
詠唱を割愛した呪文を口に出してみる。
「これを唱えると雨が降るんだ」
「いまあんたが口にした時点で呪文唱え終わってるよね?降らないと80パーセントの確率が下がっちゃうわね」
「しまった!嘘がばれた」
「今日の降水確率0パーセントって今朝ニュースしてたわよ」
飽きれた顔で運転に集中する巫女。
「ん……?」
ザーっと大雨が降りだした。
「……」
「……」
「……やっぱ厨二って偉大だわ」
「……いや、ニュースが外れただけよ」
通り雨なのか激しいのは数分ですぐに雨は止み曇り空へと変わる。
「体育祭の時以外それは辞めなさいね」
「はい……」
微妙な空気が車内に漂う。
「近城家に着く前にあんたと同じく一緒に働くパートナーのメイドを交渉しにいくわよ」
なんか本格的だなーと他人事な思考をしていた。
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