メイドとお嬢様はヒロインになれない法則

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ポチポチとスマホを弄っていると巫女が車を停車させる。 「着いたわ」 「やっと着いたか」 「じゃあコンビニでなんか飲み物買ってきて」 「コンビニかよ……」 さっきコンビニがどうたら言ってたな。 コンビニじゃなくて交渉する誰かの家に辿り着いたのかと誤解した。 仕方なくコンビニでコーラを買ってきて巫女に手渡した。 「えー、スタンダードコーラぁ」 「文句言うなよ」 「ゼロいのが良かったー」 因みに俺の手元はゼロいコーラだ。 「お前私と交換しなさいよ」 「え?なんで?」 「太るじゃん」 「太れ太れ」 女はすぐ太るとかカロリーとか気にするんだよな。 俺の親友2人の片側がテニスやってる女がいるのだがそいつもよく糖分とか気にしてウーロン茶とか飲むんだよな。 でもご馳走とか好物とか出ると気にしない面倒な生き物だよ、女は。 「私の腹とか脚が太くなったら人類の損じゃない?ほらほら、私の美貌無くなるよ」 「しゃーねーな」 女の美貌が損なわれるくらいなら俺がカロリーを取ろう。 俺がスタンダードコーラを飲むことになった。 俺も健康気にしてるんだけどな……。 「あんたがゼロいコーラ2つ買えば済んだよね」 「はっ!?」 巫女の発想が天才のそれだった……。 「じゃあ姉さんが買ってくれば良かっただろ」 「はっ!?」 結局俺が天才だった。 「時間くったけど本当にこれから人に会うから心の準備してなさいよ」 「無理だ……、俺は人見知りする……」 「いやいや、嘘吐くなよ。はっきり人に嫌われるのが怖いって白状しなさいよ」 「……」 度胸だけはあるつもりなんだけどな……。 窓の景色を見ながらそんな事を考えていた。 それから数分して巫女が路上駐車をした。 車通りが少ないからという言い訳をしていた。 「……屋敷?」 「そうね」 「会うのメイドなんだよな?」 「そうそう」 あっ、別に変ではないか。 「てっきりメイドになる人が住んでいるアパートとか自宅に向かうのかと思ったが違うのか。この屋敷の主からメイドを引き抜くのか」 「は?この家の主がメイドになるのよ」 「…………は?」 屋敷の主がメイドに? なるわけないだろ……。 どう考えてもメイドを雇うお嬢様が住んでいるみたいな豪邸だぞ……。 「わけわけわけわけわかんないぞ」 「あんたのがわけわかんないよ」 ちょっとテンパってきてしまった……。
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