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コンコン これまで何度となく叩いたドアを、また今日も叩いた。 放課後。生物準備室。 「はいはーい」 「……森山ですけど…」 「ちょいまちー」 ガチャっと開くと同時に、相変わらずダルそうな細松が顔を出した。 「はい、はいってはいってー」 「………」 書類やら本やらが雑多に積まれた机。 枕と毛布が乱雑に乗せられた大きなソファー。 辛うじて、足の踏み場と若干スペースが開けられたテーブルの上。 これも、相変わらずだった。 「……、お前も俺と話したかったら話しかけにきていーんだぞ?」 「…いや、べつに」 扉を閉め振り返った姿勢から、ニヤニヤと意地悪い顔をしてくる。 「物欲しそうに指くわえて、見つめてたくせに?」 「してないし、そんなこと。……で、なんですか、用って」
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