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ふっ、と小さく鼻で笑ってから、部屋の中に進んでいった。 向かう先はやはり、その雑多に積まれた机で。 「これ、提出物のチェック頼むわー」 「またですか。なんで、僕が……」 「係りでショー?」 「………」 不本意だった。 僕は、進級早々に生物学の係りにさせられたのだ。 なぜかこの細松直々に指名され、拒否権はなかった。 そして、生物学係りの実態は、雑用全般(めんどくさくて時間のかかる系)を任される(というかやらされる)便利屋扱いだ。 僕は、指差されたプリント類の束を確認した。 「…これ、別のクラスのですけど」 「うん、だね。だから?」 「………はぁ…」 重いため息を落としながら、僕はその書類の束に向かった。 「俺、お前のそういう純情なところ好きよー。頼むわー」 うっひっひと、嫌な笑いをしながら、ソファーにどっかりと座り込んだ。
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