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プロローグ 探偵部の同窓会
「何でこんな訳の判らない所で同窓会する事になったの?」
林修太は高校の同級生で、最後の一年だけ同じ部活だった緒方真紀に聞いた。
「なんか、探偵部だしミステリー的状況にしたいって話らしいよ。」
彼らが現在居る所は雪山のペンション、ミステリーでよくある「嵐の山荘」のような状況である。
「それにしたってこんな不便な・・・」
修太はそう言いかけて口を閉じる。
このペンションのオーナーらしき人が現れたのだ。
「いらっしゃいませ。どうぞ奥へ。」
修太はこっそり表情をうかがう。
にこやかな笑顔の裏に(このペンションが嫌いなら泊まりに来るんじゃない!)と言う感情がはっきりと見て取れた。
奥に行くと、
「おぉ、先輩!」
水野美香が出迎える。
「タイヤにチェーン着けるの緒方先輩に任せちゃダメでしょう、林先輩。」
吉本幸一も言う。
「「!?」」
困惑する二人。
「まず、今は吹雪がやんでいるにも関わらず、緒方先輩の服に雪がついている。それに対して、林先輩の服には何もついていない。次に、緒方先輩の手袋に小さな穴が開いている、恐らくチェーンを着ける時に切れてしまったのでしょう。」
幸一は得意げな顔をするが、
「それだけ?」
美香に突っ込まれる。
「これだけ、悪い?」
「少ないわね、少なくとも三つぐらいあげなさいよ、それに二つともいくらでも反論できるし、手袋の穴ぐらい、チェーンを着けるとき以外にも開くし、雪だって木から落ちてきたのにかかったのかもしんないし。」
「じゃあ本人に聞いてみよう、どうなんですか?先輩。」
真紀が答える。
「チェーンを着けたのは私です。」
「ほら見ろ!現役私立探偵に推理で勝てると思うな!」
幸一が勝ち誇る。
「だけど、水野さんの反論も素晴らしかった。さすが弁護士!」
「それに対して僕は心理カウンセラーだから推理力まるでなし。」
「修太はまだ心が読めるからいいけど、私は自慢になるのは腕力しかない・・・」
「心を読んでいるわけじゃないよ、顔を見たらその人が考えている事が判るだけ。」
「・・・どう違うのかよく判らない。」
「パン!」
幸一が手を叩いて皆の注目を集める。
「みんなそろった事ですし、レストランに行きますか。」
「「「賛成!」」」
こうして、T高校探偵部の同窓会が始まった。
第一章
俺は私立探偵、吉本幸一。
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