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サレストを殺したことそのものは、九鬼の家を出るたびに、毎回慧の記憶からは消えてしまっていたが、漠然とした不安や恐怖はいつも慧の中にあって……慧はずっと、そのことで苦しんでいた。
オレとのことも──今は、両想いになったからいいんだけど。
特に、オレと組んで戦い始めたばかりの頃、慧はずいぶん悩んでいたみたいだった。
慧は、オレが慧のことを知る前から、オレを好きでいてくれたんだけど。オレははじめのうち、もちろんそんなこととはぜんぜん知らなくて、ただ慧から情報を得ようとして、慧の家に乗り込んだ。
慧は慧で、オレがやけに積極的に近づいてきたので、かなりどぎまぎしたらしい。
今は身分の違いもないし、そのときはまだ伊波も現れていなかった。
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