11人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
慧として転生してからは、逆に、村を出る前のことしか覚えていなくて、最近になって、慧は、その村を出てからの恐ろしい記憶を悪夢として夢に見るようになっていた。
慧が悪夢を見始めたきっかけは……あの、九鬼の家の地下室に関係があった。
実は慧は、九鬼の家に行ったときだけは、九鬼の力の影響で、自分が前世でサレストを殺したことをはっきり思い出していた。
殺すつもりはなかったとはいえ、慧は、自分が結果的にサレストの命を奪うことになってしまったのを悔やみ、深い罪の意識にさいなまれていた。
それに加えて、九鬼に、言うことをきかないとオレを傷つけると脅され――それで慧は、九鬼から与えられる「罰」を、抵抗せずに受け入れていた。
最初のコメントを投稿しよう!