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(もし、前世で伝えられなかった思いを口にしたら……今だったら、万に一つでも望みはあるだろうか)
慧の心の片隅に、そんな淡い期待が芽生えたのもつかの間。その思いは、九鬼によって打ち砕かれた。
慧に、九鬼から初めての呼び出しがあったのは、あの台風の日のことだった。
慧が抱いたイヤな予感は当たり、
「きみがかつてジュストだったときのように、私からの『罰』を受けなければ、あの小僧を傷つけてやる」
九鬼は、慧と顔を合わせるなりそう言い放った。
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