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その後椿と共に改めて屋敷内を見て回り、
奉公人達に顔見せをした。
皆明智家の希望の星と聞き光太郎に尊敬の眼差しを向けた。
会社では時に上司や取引先の叱責に耐えながら働いていたが、
ここでは光綱を除く全員が自分を敬っている。
光太郎はこの状況に少しだけにんまりとしたが、
そんな悠長なことを思えたのはほんの一瞬のことだった。
椿に一通り屋敷の説明をしてもらった後
再び光綱から呼び出され、そしてこう告げられたのだ。
「今日はもう休んで構わぬが、明日早速秀吉殿に挨拶に伺おうと思う」
「えっ、明日ですか?!」
「ゆくゆくは信長征伐のことを持ち掛けようとは思うが、
お主は秀吉殿の心を開くことに専念せよ。
まずは信頼関係を結び利害まで一致させねば、
血縁者以外と協力し合う事は困難じゃ」
随分と急だな…
この人はよっぽど早急に信長を倒したいんだな。
でも、歴史上の偉人と会えるのは緊張するし楽しみでもある。
仕事で身につけた技術が活かせるかは分からないけれど、
とにかく俺は史実のように秀吉に殺されたりはしない!
秀吉の心を開いて、同盟に漕ぎ着けてやる!
そしてーーー信長を倒した暁には何とかして元の世界に戻ってみせる。
光太郎はそう決心し、その日は夕食も摂らずしとねに入った。
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