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光太郎が目を覚ますと、身体中が痛いことに気が付いた。
「痛…」
何だかとても硬い床の上で寝ていたようだ。
昨日ちゃんと布団の中に入ったはずだったが、それにしても節々が痛む。
アラームはまだ鳴ってないけど…起きて準備するか。
霞む目を擦りながら光太郎が目を少しずつ開けると、天井が自分の住むアパートと様子が違うことに気づいた。
ーーーあれ?
光太郎ががばりと起き上がると、自分が寝ていた布団も、それを取り囲む風景も何もかもが見慣れぬものになっていた。
「嘘だろ…」
光太郎が辺りを見渡すと、自身が住むアパートとは明らかに異なる
木造で古風な部屋の中にいた。
ここはどこだ…?
いつの間にこんな所に?
それより、今何時だ?!
会社に遅刻なんてしたら…!
光太郎の頭の中には、ここがどこかということよりも
上司や取引先のことを想像して冷や汗をかいた。
とにかく会社に連絡して、その後にここがどこかを調べてタクシー呼んですぐに出社しよう。
しかし、枕元に置いていた携帯電話がないことに気がつく。
「…」
絶望しながら光太郎が部屋の戸を開けると、眩しい光が目を刺した。
「うっ?!」
光太郎がうっすらと目を開けると、目の前には男が立っていた。
そして眩しい光は、その男の頭に反射した
太陽光であることがわかった。
「うあっ!」
光太郎が男の存在に驚き叫び声をあげると、
男は微笑みながら光太郎の肩に手を置いた。
「よくぞ参った。
お主こそ我が明智家の後を継ぐに相応しい男じゃ!」
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