大晦日の秘密

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「父さん、本当は年が明けてから行くつもりだったんだけど、今日帰ってもいいかな」 『き、今日帰ってくる?』 本題を出した途端に、明らかに声が上ずった父。 『そ、蕎麦も、蕎麦も一緒に食べるのか?』 「そのつもりだけど、ダメだった?」 明らかに狼狽している父の声を聞きながら、都合を確認する貴之。 行くのがダメなのか、一緒に食事をするのがダメなのか、いまいちわかりづらい反応ではあったが。 『いや、来てもいい。大丈夫だ』 「ほんとうに?」 『ああ、多分、母さんも喜ぶだろう。和俊も貴之も息子だったからなあ。娘が欲しかったと言っていたからな。和俊はいつまで経っても結婚しないから、はるちゃんが嫁に来てくれて一番喜んでるのは母さんだ』 それを聞いて、貴之はなら帰ろうかと思う。 兄である和俊は、年末年始は忙しくて、なかなか休みが取れないのだ。 最近、昇進したらしく、ますます忙しくなったようだ。 元々仕事が好きな和俊は、そちらの方がいいようだが、両親は将来が心配だと言っていたような気がする。
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