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それでも、結婚式にはムリをしてでも出てきてくれた和俊は、いつまで経っても優しいお兄ちゃんである。
「兄さん、忙しいみたいだからね」
『きちんと食事をしてるか心配だって、母さんがうるさくてな。和俊は帰ってくるのが面倒なんだろう』
「兄さん、自炊しないからね」
貴之は、母の手伝いをよくしていたのもあって、家事はかなり得意なのだ。
その点は、晴香より上である。
晴香は手伝いはしていたのではなく、させられていたため、身につかなかったようで、掃除も料理もそこそこのレベルであった。
『嫁でも来てくれたら、安心なんだろうが、和俊は仕事ばかりだから、なかなか嫁はきてくれないかもしれないな』
二人で笑いながら、兄の話をし、キリがついたところで、夕方くらいには行くと伝える。
父は、だったら、はるちゃんも交えて買い物をしようと提案して、貴之はそれを了承して、電話を切った。
正月の間ゆっくりしていけと言われたので、準備にゆっくり時間をかけて、行くことにした。
一時間くらいで帰れる距離なので、そんなに急ぐ必要もない。
ただ、父がなぜ狼狽していたのかだけ、貴之は気になっていた。
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