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日差しが痛いくらい眩しい。
少年は雲ひとつない空でさんさんと輝く太陽を手の指の隙間から睨みつけていた。
「今日は特に暑いな」
泥のついた木製のクワを片手に少年は額に流れる汗を手で拭った。
程よく引き締まった腕で木製のクワを再び握りしめ地面に叩きつける。
今年は特に農作物が不作だった。
毎年、今の時期には統治国である王都ディルクに作物を納めないといけないのだが、今年はまだ半分しか納めてない。
広大な城下町のさらに隅っこにある小さな集落に少年の一家は農業を生業として住んでいた。
あまり上等とは言えない畑の天地返しの為に少年はクワを何度も振り下ろす。
「おーい。ジン!そろそろお昼にするぞ!」
別の畑で作業をしていた父親が大声で叫んだ。
ジン、と呼ばれた少年はその声を聞くと振り向いて大きく手を振った。
汗で濡れた前髪をかきあげながらもう一度、雲ひとつない空を見上げた。
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