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「ちゃんと水は飲んでおけよ」
そう言って父親は水の入った竹筒をポンっと投げた。
ジンは受け取った竹筒のフタを開けると口の中に残っていたご飯と一緒に流し込んだ。
「父さん、今年の不作は異常だね」
最後の塩おにぎりをほうばりながらジンが畑を見る。
「そうだな、近頃の天気は本当におかしい。いつもならすでに涼しくなってきてるはずなんだがな」
よく日に焼けた眉間にシワが集まる。
「よくない前兆じゃなければ良いが。まぁここでそんな事考えても仕方がない。俺らは目の前の作業に精を出すだけだ」
そう言って父親は重い腰を上げた。
「さぁ、ジン。残りの作業を終わらせるぞ」
うん、と頷くとジンも木製のクワを片手に立ち上がり畑に向かった。
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