39人が本棚に入れています
本棚に追加
「このまま先へ向かうと、宿場町まで行っちゃうから、そろそろ戻らないとね」
あつ兄の奥さんは車をUターンさせた。
「そっか、あそこはあそこで、また別の時に行きたいなー」
「いいわよ。じゃあ、月曜に行きましょ?あそこの宿場町に、新しく食事処が出来てね。うちのお野菜使ってくれてるのよ?」
「そうなの?すごいね!」
「地元の野菜にこだわってるお店なんですって」
「是非にでも行きたい!」
私はそう言って、緩やかな川を見ると、
「えっ?…」
赤色の何かが浮かんで流れていた。
何だろう、あれ…。
私は目を凝らす。
「ねぇねぇ、あれっ。何か川に浮かんでない?ほら、あの赤色の何か…」
私は妙にその小さなモノに胸騒ぎを感じて、放っておけなくて、あつ兄の奥さんに声を掛けた。
「あぁ、あれね」
「えっ、何か知ってるの?」
「毎日ってくらい、木の船に乗って流れてくるわよ。上流の方から、きっと誰かが何かを思って流してるんだと思うのよね」
誰かが?…
何かの思いって、何だろう。
「へぇ、そうなんだ…」
「気になる?」
「うん」
あつ兄の奥さんは少し車を走らせて、川沿いに車を止めて、赤色の物体が流れてくるのを私達は待った。
最初のコメントを投稿しよう!