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何か大切なものが消えかけていく。
何か大切なものが減っていく。
何か大切なものを忘れていく。
何か大切な気持ちを失っていく。
私だけが、その大切な気持ちを貫こうとして。
灰色の淀んだ世間。
濁った歪んだ社会。
欠落した人々たちに、踏みつけられて傷つけられてしまった。
私は仕事を辞めたのだ。
辞めて地元に戻った。
ご飯も食べれないくらい。
眠れないくらい。
生きた心地のしない。
働き甲斐のない。
職場の若い女たちの冷ややかな態度に。
心が不安定になって。
泣いてばかりの毎日だった。
職場の若い女上司の角の立つ言葉に。
いちいち、つらくて悲しくて。
悔しくて腹が立ったりして。
何度も何度も辞めたいと、家族や友人に話していた。
大人でも、イジメがあるんだ。
そう思えた。
仕事に託つけて、年齢のいった私は、孤立させられていた。
職場で優しく言葉を掛けてくれる人だなんて、誰一人もいなくて。
気ばかりが、私の脳を覆って。
最後の方は、震えが止まらなくなっていた。
神経が研ぎ澄まされていたから、小さな物音でも驚いて、何もかもがイヤミに聞こえて、席を離れると私の悪口を言って嘲笑っている…。
そんな気持ちにさせられていた。
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