1…失職

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20代の職場で。 40前の年齢の私は、場違いだから辞めて下さい。 そんな態度を取られていたのだ。 バス停に着くと、 「トシちゃん、久しぶりだねぇ。お疲れ様ぁ。さぁさぁ、おじさんが荷物持ったるで、車に乗んなさい」 父の兄。 おじさんが首にタオルを巻いたまま、陽気に言った。 「おばあちゃんがもうね、急かすから。到着予定時間より、えらく早めにおじさん着いちゃったんだよ?」 「ありがとう、おじさん。突然、一ヶ月もお世話になる事になっちゃって。申し訳ない」 私は、おじさんに拝む。 「話しは聞いてるよ。大丈夫、大丈夫。それはそうと、トシちゃん大変だったねぇ、やっぱり都会に揉まれると、人の心は狭くなるんだわなー」 「そんな人ばっかりではないとは思うけど、私は残念ながら大当たりだったみたい」 「大当たりだったかぁ。んぁ、でも、もうその笑顔が出来るなら、安心したわ。一ヶ月、たっぷりド田舎で静養してけな?」 そう。 一ヶ月、私は田舎暮らしをするのだ。 「静養はもちろん。でも畑とかも手伝うからね?何もしないんじゃ、なんだか居づらいじゃん」 居づらいのは、本当につらいんだもの。 前の職場の、あの感じの悪い雰囲気を思い出す。
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