39人が本棚に入れています
本棚に追加
「あら、可愛い。はじめましてトシちゃんですよ?」
おじさんは嬉しそうに、
「もぉ、よー泣く泣く。耳がキーンとなる」
そんな言葉におばさんが、
「あんたの大笑いのが、キーンとなるわ」
突っ込みを入れられて、
「おふくろの小言も、大概キーンとなるって」
あつ兄も負けまいと言う。
「もぉ、みんな言い過ぎー」
私は、あつ兄の奥さんと笑う。
笑いの絶えない家族なのだ。
だから、私の父は。
私に、ここで一ヶ月静養したらいいんじゃないか?
と、アドバイスをしてくれたのだろう。
先ずは笑顔を取り戻す事だと。
居間には、おばあちゃんが座っていた。
90歳は過ぎていても、自分でなんでもやるおばあちゃんは元気だ。
せかせかとお皿を並べたり、お箸を置いたりと動いていた。
「おばあちゃん」
声を掛けると、私の事情を色々と聞いていたのだろう。
抱き締めてくれて、私の手をさすって、
「可哀想に、こんなに痩せてしまって。嫌な思いたくさんしたなー。もう大丈夫だからなー」
私は泣いてしまった。
「心配掛けてごめんね。うん、少しずつ元気になるね」
「そうだな、さぁさぁ、ご飯にしよう。たくさん食べて太って帰らせんといかんでな」
最初のコメントを投稿しよう!