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あの時を思い返すと…
僕は泉になにも落としていなかったのだ……
ピクニックの途中で斧など持っているはずがない!
そもそもピクニックの目的は泉ではなくその先にある高原の展望台であった。
チラッと後ろを振り向くと淡い髪の色で少しタレ目の女神様がビクンとして電信柱の後ろに隠れる。
「女神様ー!僕はあのとき斧なんか泉に落としてないけど、どうして現れたの?」
思いきって聞いてみた
「…………。」
「…………。」
返事はなかった…………。
翌日、
僕の枕元には手紙が置いてあった
『拝啓、あの泉には人が滅多にこないから来た人には必ず声をかけています。スキスキチュッチュッ♪敬具。』
村は過疎化していて辺鄙なあの場所では女神様も寂しかったのであろう。
僕は携帯電話を買い手紙を添えて
ベッドの上に置いた。
『女神様へ。もし良ければこの携帯電話をプレゼントします。寂しくなったら遠慮なく僕に電話やメールをして下さい。』
仕事から帰ると携帯電話と手紙は消えていた。
トゥルトゥルトゥルー♪
僕の携帯がなった。相手は女神様からだ。
「もしもし?」
緊張と喜びで心がドキドキする。
「女神様、電話ありがとう。」
できるだけ優しい声で感謝を伝えた
「……………。」
「……………。」
「……………。」
ガシャップゥープゥー
この日から僕は無言電話に悩むことになる。
翌月、
女神様が使った携帯料金が請求されると僕は青ざめた…
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