罪科

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 ただし美咲の立場にしてみれば、 いずれは東大や慶応を目指す、 もしくは早稲田や上智に入りたいといった野心があるわけでもなく、 受かれば何処でも良いのだろう。  が、 娘が仮にあまりにもレベルの低い学校に進んだとすれば、 そこに集っているのは当然あまりにもレベルの低い連中だから、 いずれ娘も同じ仲間になってしまうんだよ、 と武則は娘の父親として主張する。    ただし、 その先の対応は和子任せであったが……。  だから娘の家庭教師が若い男だとわかって瞬間ぎょっとしたものの、 武則は和子の判断を否定しない。  和子は、 美咲は人見知りしない子供だから、 男の先生の方が却っていいんですよ、 女の先生だと甘えてしまうかもしれませんが、 男の先生だったら、 その目が気になって、 しっかりと勉強するようになるはずですから……、 と武則に自分の考えを説明している。
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