仮面

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 それは社会的ペルソナ(自己の外的側面=仮面)。  が、 仮面とは言っても肉に食い込んだものだ。  人によっては、 もうすでに剥がすことの出来ない肉面とさえなっている。  己の肉の内側にしっかりぺったりと定着し、 もはや実の素顔を垣間見ることさえ出来いのだ。  そう考えれば大層怖いが、 和子は、 そうなる人間は好きでそれを被ったのだ、 と思っている。  だから怖いとも感じない。  一途で真面目で、 おそらく自分の仕事に関して迷うことは滅多にない。  それが顔に自信を持つということだ。  職業人のプロフェッショナルとしての仮面なのだ。  ある夜、 鏡を見ながら振り返り、 随分遠くまで来たものだと己の軌跡を眺め遣るとき、 仮面の奥からキラリと内面の自分が微笑むところを目撃するかもしれないのだ。
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