秘密

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 どちらにしても、 あの頃和子はまだ男の身体を我が身に受け入れたことはなく、 行為に対する夢はあったが幻想はない……と今に至るも信じている。 「ふうん、 そうなんだ」  とみどりに応え、 和子が言う。 「早死にしそうには見えなかったけどね、 塩谷くん」  すると、 「それがさあ……」  とみどりが声を潜め、 「詳しいことは知らないけどさ。 どうも病気とか事故じゃないみたいなんだな」  わずかに深刻な表情を浮かべ、 和子と秘密を共有するかのように囁く。 「……ってことは、 つまり」  と和子。 「自殺らしいわ」  最後にみどりは口をすぼめて和子の耳に声を落とす。
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