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その一瞬、
和子は恵の噂アンテナの未だ衰えぬ健在性を知り、
思わず頬の緊張を緩めてしまう。
が、
その表情の変化と恵と関わることは一致しない。
「何でもないわよ」
と右掌を軽く左右に振りながらを和子は応える。
「でもまあ、
メグも変らないわね」
そう付け加えて首肯くと、
みどりも合わせて首を縦に振る。
「ほんとおーっ、
アンタたち怪しいわよ」
と恵。
「古亭主の悪口を言ってただけだから、
新婚のメグは、
ホラ、
ホラ、
あっちへ行く」
和子がそう言い切ると、
恵はそれ以上詮索する気が起きなかったらしく、
高校生当時憧れていた――と噂される――山本雄二の隣の席が空いたのを見定める、
すばやくそこに収まっている。
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