第1章

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「ほら泣かないの。ただ言ってみただけだから。大丈夫、ずっと一緒にいるから」 私は一生懸命涙を止めた。喉が詰まってヒックヒックなりながら言葉をはきだす。 「ほんと?ずっとどこもいかない?」 「何処にも行かないから。ずっと一緒にいるから」 「やくそくだよ。ぜったいだよ。ずっとずっといっしょだからね」 私はお母さんの胸から離れ涙を拭う。そして小指を差し出していた。 「約束、約束するから。ずっと一緒にいようね」 覚えている。心からほっとして安堵したことを。また強くお母さんに抱きついたことも。 心に、頭に焼き付いている。
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